緑の風に乗せて、ことばの花束を。

新緑がまぶしく、初夏の気配が感じられる季節となりました。

結婚式という人生の大切な節目に寄り添う、司会者という仕事。

今回は、当スクール司会部門の生徒の三谷愛里さんに、これまでの歩みや司会という仕事の魅力、そしてこれからの展望について伺いました。 

三谷さんは、中学生の頃、劇団四季の舞台を観たことがきっかけで、声楽の道に興味を持つようになりました。音楽が人の心を動かすことを知って、自分もそんな表現がしたいと思ったそうです。大学で声楽を専攻し、卒業後は子ども向けのコンサートを中心に音楽活動を続けていました。 しかし、表現者としてのやりがいを感じつつも、生活の安定とのギャップに悩む時期があったそうです。

そんな中で訪れたのが、ご自身の結婚式。その経験が、人生を大きく動かす転機となりました。 

「式の司会者が、まさに今私が学び、所属しているHASEGAWA S.T.の方だったんです。話し方、表情、場の空気のつくり方まで、本当に素晴らしくて。心があたたかくなるような時間でした。あの日のことを思い出すと、今でも胸がいっぱいになります。私も、誰かの人生の大切な一日を支える存在になりたい。そう思いました。」 

その後、三谷さんは司会者を志して、能力検定振興協会の門を叩きました。未経験からのスタートでしたが、音楽で培った表現力と声のコントロールは、司会の現場でも大いに生かされています。 

「最初は不安もありました。でも、現場で新郎新婦のおふたりと向き合い、その想いを言葉に乗せて届けることで、少しずつ自信がついていきました。式が終わったあとにいただく“ありがとう”の言葉や、“三谷さんでよかった”というメールが、私にとっての宝物です。」 

結婚式は、一人の力では成り立たない“チーム戦”です。キャプテンやサービススタッフ、音響、カメラマンなど、多くのスタッフが連携しながら一つの式を創り上げます。その中で司会者は、全体の雰囲気を読みながら進行を調整し、ときには演出のタイミングを柔軟に変える判断力も求められます。 

「BGMのタイミングや、カーテンオープンのきっかけ、ちょっとした演出の盛り上げ方など、細かい部分まで現場では臨機応変の対応が必要です。毎回違う式、違うドラマがありますので、そのぶん自分も毎回学ぶことばかりです。」 

また、現場指導を通して、対人スキルの大切さにも気づかされたと話します。 

「もともと人と話すことがあまり得意ではなかったのですが、プランナーさんやカメラマンさん、音響スタッフさんなど、さまざまな方々と連携していく中で、自然とコミュニケーション力が鍛えられていきました。いまでは、現場で人と関わることが楽しいと感じるようになりました。」 

その変化を後押ししてくれたのが、HASEGAWA S.T.代表・阿久津社長の言葉だったそうです。 

「“ゲストに感動させようとするのではなく、自分が感動し、共感するんです”という言葉が、今でも心に残っています。自分の心が動いた瞬間を、嘘なくそのまま伝える。それが、ゲストの心に届く司会になるのだと気づかされました。」 

三谷さんにとって、司会とはただの「進行役」ではなく、「言葉で感情を届ける役割」でもあります。自分が感じた想いを、自分の言葉で伝える。それが、式をより特別なものにするカギだと信じています。 

「この仕事は、本当にやりがいのある仕事です。新郎新婦にとって人生で一度の大切な日に立ち会えることは、何よりの誇りですし、自分自身の成長を感じられる場でもあります。能力検定振興協会は、自分らしい司会を大切にしてくれる教育機関なので、司会に興味のある方はぜひ飛び込んでみてほしいです。」  司会という仕事に出会い、自分の声と想いを誰かのために届ける喜びを知った三谷さん。これからも、たくさんの新郎新婦の想いに寄り添い、その一日を彩る“声のプロフェッショナル”として、初夏の太陽のように輝き続けていくことでしょう。

ハピ子

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