ラピスラズリのように輝く時を

音で彩る結婚式

結婚式の一瞬を音で鮮やかに彩る―その現場に立ち、ブライダル音響を学んだキタ瑠歌さん。現在は結婚式当日のオペレートを中心に、新郎新婦様との打ち合わせも担当しています。技術だけでなく接客やコミュニケーションも欠かせない日々を送りながら、彼女は現場で少しずつ自信を重ねてきました。

「打ち合わせの中で“この打ち合わせ楽しい!”と新郎新婦様から言っていただける瞬間がとても嬉しい」と話します。お客様の反応を通して自分の成長を実感できること、それが今の彼女の大きなモチベーションになっています。音響スタッフというとオペレーションのイメージが強いですが、実際にはおふたりと直接言葉を交わし、一緒に結婚式を形にしていく仕事。そこにコミュニケーションの楽しさや奥深さを見出しているようです。

空気をつくる音響

音響の学びを深める中で特に印象に残っているのは「音を流すだけではなく、会場全体の空気をつくる役割を担っている」という実感だといいます。タイミングや音量のわずかな違いで会場の雰囲気は大きく変わり、その一瞬で空気が和らいだり、緊張が高まったりする。そうした体験を重ねる中で、音響の奥深さにますます惹かれていったそうです。

さらに、現場ではスタッフ同士の信頼関係も重要だと語ります。音楽がスムーズに流れるのはもちろん、照明や進行との呼吸が合ってこそ式全体が安心して進んでいく。その「調和」があってこそ、おふたりやゲストに心地よい時間が生まれる。キタさんは現場で何度もそう実感してきました。

「好き」という想いが導く、やりがいと喜び

ブライダル音響に携わり始め、さまざまな現場を経験している中で「一つひとつの式で新しい学びがある」と言います。ミスをしないよう努力するのはもちろんですが、同じ現場はひとつとしてなく、常に新しい気づきや改善点が見つかる。学び続けられる環境に身を置けることが、この仕事のやりがいだと話してくれました。

これから同じ道を目指す方へのアドバイスをお願いすると、「人の人生の大切な瞬間に関わる責任の重さを意識してほしい」と真剣な眼差しで語ってくれました。確かに華やかに見える仕事ですが、求められるのは責任感と精神的な強さ。「ブライダルが好き」という気持ちがあれば、この仕事のやりがいを確実に感じられるし、楽しさも味わえる。そんな言葉に、現場を体感する彼女ならではの説得力を感じました。

響きとともに歩む未来

最後に、将来の夢について尋ねました。

「おふたりが“結婚式が楽しかった”と心から思えるようなオペレートや打ち合わせをしたいです。当日流れる音楽が思い出のひとつになったら、それはおふたりにとって最高の日になったということ。その瞬間をつくれる存在になりたいと思います」

そう語る彼女の姿からは、音楽に支えられて歩んできた人生の軸が見えてきます。「瑠歌」というご自身のお名前も音楽にゆかりのあるもの。お父さまの好きなギタリスト、スティーヴ・ルカサーから発想を得て名付けられたそうです。「瑠」は瑠璃色、“ラピスラズリのように美しく育ってほしい”という願い、「歌」には“音楽を通して感受性豊かに育ってほしい”という思い。幼い頃は少し男の子っぽいと感じてあまり好きになれなかったそうですが、今では自分だけの特別な名前として、心から大切にしているとのことでした。

音楽とともに歩み、音で空間をつくり、人の特別な瞬間に寄り添う。キタ瑠歌さんのこれからの歩みは、まさにその名前のように、色鮮やかに伸びやかな響きを奏でていくのだろうと感じました。

ハピ子

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