少しずつ春の訪れを感じる季節となりました。気持ちもどこか弾むような日々ですね。
今回は、ラジオの現場からウエディングの現場へと歩みを進め、音響を学ぶ、毛利水音さんのストーリーをご紹介します。
新しい環境へ飛び込む行動力
毛利水音さんは2020年4月に上京。前職はラジオ局でAD(アシスタントディレクター)として勤務。番組制作を円滑に進めるためのサポート全般を担当していました。
ラジオ制作の現場は、とにかく時間との勝負。「放送時間に絶対に間に合わせる」ことが最優先で、スピード感と正確さ、そしてチーム連携が不可欠です。多くの関係者が同時進行で動く中、自分の役割を見極めて支える経験を積んできました。
その経験を胸に、ウエディングの現場へ。ラジオはリスナーの反応がすぐには見えにくい仕事ですが、ウエディングは目の前で空気が変わり、反応が返ってくる現場。音や映像、進行のきっかけひとつで、会場の雰囲気が一瞬で動く。その変化を体感できることが大きな魅力だと話してくれました。また、結婚式は一組一組まったく内容が違います。「毎回が新番組の立ち上げのよう」と表現していたのが印象的で、変化を楽しめる性格がウエディングの仕事にフィットしたことが伺えました。
想いが重なった、あの一曲
最近うれしかった出来事として話してくれたのは、披露宴の打ち合わせでのひとコマです。毛利さんがご提案した一曲を、新郎新婦がとても気に入ってくださり、その瞬間、場の空気がふっとやわらいだといいます。
曲を提案する際も、単に人気や知名度で選ぶのではなく、「このタイミングで流れたら、どんな表情が生まれるだろう」「この歌詞はおふたりの歩みに合っているだろうか」と、情景を思い浮かべながら考えているそうです。ラジオ局でADとして働いていた頃に触れてきた数多くの楽曲、番組づくりの中で培った“シーンを想像しながら音を選ぶ”視点。そして、ウエディングの現場に入ってから学んできた進行や空気感への理解。毛利さんの経験とていねいな積み重ねがあったからこそ、「この曲いいですね!」という言葉につながったのだと感じます。
自分の引き出しが誰かの大切な一日を彩る力になる――その実感は、毛利さんにとって大きな自信になったようです。静かな笑顔の奥に、確かな手ごたえと次への意欲がのぞいていました。
挑戦を楽しむ気持ち
影響を受けているアーティストは、SUPER EIGHT。楽曲だけでなく、キャリアを重ねながらも新しい表現に挑戦し続ける姿勢に心を動かされたそうです。
「同じことを続けるのではなく、少しずつ更新していくところが素敵」と話す毛利さん。その言葉は、そのままご自身の目標にも重なっています。毎回の現場で小さな工夫を積み重ね、よりよい空間をつくりたい。そんなまっすぐな思いが伝わってきました。
気持ちに寄り添う仕事
ウエディングの現場に入って、毛利さんが強く感じているのは「気持ちに寄り添える仕事」だということ。ラジオでは、リスナーの反応はすぐ目に見えるものではありませんでした。結婚式では、おふたりの緊張や期待、ご家族やご友人の想いが、その場の空気として確かに存在しています。音や映像、きっかけひとつで、その空気がやわらぎ、笑顔が広がる瞬間がある――そんな場面に立ち会えることが大きなやりがいになっているそうです。
「この一瞬にどんな気持ちが流れているか」を感じ取りながら動くこと。その積み重ねが、結婚式という特別な一日を支えているのだと話してくれました。
やわらかさの中にある芯
毛利さんの言葉のひとつひとつに、現場を大切にしている気持ちが込められ、空気の変化や人の表情を丁寧に見つめている観察力を感じました。
目標は「安心して任せてもらえる存在になること」。そして、音や演出を通して記憶に残る時間をつくること。支える経験を土台に、これからどんな花を咲かせていくのかとても楽しみです。
寒さの中にも、どこかやわらかな光を感じる2月。
お話を聞きながら、ひと足早い春の気配のような、爽やかな風をまとった毛利さんの姿が心に残りました。
ハピ子